歯ぎしりについて その1
歯ぎしり(ブラキシズム)とは
歯ぎしり・食いしばりで顎や顔まわりの筋肉痛みを訴える患者さんが多いです。その他にも、朝起きたら歯が浮いたような感じがする、顎が疲れているような感じがする、などの症状も良く聞きます。
多くの方は、歯科医院などでの定期検診で虫歯や歯周病のチェックを受けていますが、歯ぎしりや食いしばりに関してはどうでしょうか?自分で痛いと感じるようになった時には、顎や歯に症状が出ています。
意識しないで歯を強く食いしばる症状を「ブラキシズム」と呼びます。ブラキシズムは、寝ている時だけに起こる症状ではなく、活動している時にも起こる症状で、歯ぎしりや食いしばりを主体とした噛む筋肉の活動の総称です。
歯ぎしりの原因
以前まで歯ぎしりはストレスによって起きやすいと思われていましたが、最近では小さい子供も歯ぎしりをします。
浅い眠りをレム睡眠、深い眠りをノンレム睡眠といいます。歯ぎしりは、深い眠りのノンレム睡眠から浅い眠りのレム睡眠に代わる時に起こると言われています。
眠ったり身体を休めたりリラックスしている時に優位になるのが副交感神経で、活発に動いたり興奮状態の時に優位になる交感神経ですが、深い眠りで副交感神経優位の状態から、浅い眠りで交感神経が優位になってくると歯ぎしりや食いしばりのブラキシズムが起こるといわれています。
ですので、脳からの命令で引き起こされ、歯があってもなくても、子供でも大人でもブラキシズムは起こる現象なのです。
以上のことより、ブラキシズムをすること自体は問題ないのですが、それが強いと問題になり、歯にとっても良くないことになります。
歯ぎしりの治療法
歯ぎしりに対しての治療方法は基本的に対処療法になります。
ですので完全に治ることはなく、症状が出たり引いたりします。
寝ているときの歯ぎしりは噛む力をコントロールできないので、歯がすり減る、歯がしみる、歯が欠けるなどのトラブルが生じます。それを防ぐためにマウスピース(ナイトガード)を装着します。
TCH(Tooth Contracting Habit):歯列接触癖
TCHとは、上下の歯を持続的に接触させる癖のことです。
1日24時間に上下の歯がしっかりくっついている時間はご存知ですか?正解は20分程度といわれています。異常がなければほとんどの時間で上下の歯は接触していないのです。
微弱な力でも接触時間が長ければ筋肉が疲労してくるため、顎関節は押さえつけられることになり、感覚が敏感になり痛みを感じやすくなります。
TCHがあるからといって必ずしも不快症状がでるとは限りませんが、TCHがあるか自覚することが大事です。
TCHは無意識のうちに行うことが多いのですぐにやめれるものではありません。
例えば、パソコンやテレビ、机の隅に、なにかしら自分でわかるマークを貼っておいて、それを見たら上下の歯を離すようにする、などを行なうとよいでしょう。
歯根破折
歯根破折は歯ぎしり食いしばりで一番困ります。
治療方法としては抜歯しかありません。
歯根破折で抜歯となりインプラントを希望された場合、歯の周りの骨が吸収している事が多く、インプラントをするための骨がないために骨造成が必要になることがあります。
またブリッジを選択された場合も、元々のデメリットである荷重負荷が問題となってきます。
いずれにしても歯根破折となった次の治療は、非常に難易度の高い治療となりますのでご注意ください。